モンサンミッシェルは西洋の驚異とも称されるカトリックの巡礼地のひとつ。
フランスで最も有名で、多くの日本人観光客を魅了しています。
モンサンミッシェルとはフランス西部、ノルマンディー地方のサン・マロ湾に浮かぶ小島およびそこに建てられている修道院のことを指し、1979年には「モン=サン=ミシェルとその湾」として世界遺産にも登録されています。
モンサンミッシェルは聖なる場所として信仰されている
モンサンミッシェルの修道院は岩山の上に建てられています。
そのきっかけとなったのは大天使ミカエルによる夢のお告げ。
司教の夢にミカエルが出てきて、「この地に修道院を建てよ」と命じられて、修道院を建てたそうです。
裏側は木々が生い茂っていて小さい森みたいになっていたりするのですが、この岩山自体、古代から聖なる場所として信仰されていました。
そんな岩山の上にあるモンサンミッシェルの修道院は、13世紀から16世紀にかけて、当時の教会建築の技術を結集させて建てられました。
主要はゴシック建築ですが、モンサンミッシェルの内部は中世の様々な建築様式が混在しています。これは数世紀にわたって増改築が繰り返されてきたためです。
余談ですが、修道院のてっぺんにあるのは銅に金箔で覆われた大天使ミカエル像。今では避雷針の役割をしています。
高台にある修道院に行くまでの路地グラン・リュ(フランス語で大通りという意味)。
大通りといいながら狭いです。
この路地には、お土産屋さんやレストラン、ホテルなどが立ち並んでいて、観光客で賑わっています。
ラ・メール・プラールのオムレツはモンサンミッシェル名物
モンサンミッシェルはオムレツが有名です。
修道院下の路地に立ち並ぶお店の中で、ラ・メール・プラールというお店でオムレツを食べることに。
当時このお店をやっていたアネット・プラールという人が、巡礼者の疲れを癒すために、簡単ですぐ作れるオムレツを思いついたそうです。
モンサンミッシェルのオムレツは実はあまり美味しくないという評判があります。
名物なので一応食べたのですが、実際の味はどうだったかというと、
美味しくはないけどまずくはない、というのが率直な感想。
というかあんまり味がしないです。
簡単にすぐ作れる料理としてこのオムレツがお店で作られるようになったというのがそもそものきっかけだったから、こういう感じでも仕方ないかなと思ったりもします。
美味しくないという噂を先に聞いていたので、保険をかけてガレットも注文していました。
ガレットはフランス北西部の郷土料理。そば粉でつくられていて、クレープみたいな感じなのですが、具材には卵とかチーズとかハムとかきのことか、色々あります。
ガレット美味しかったです。
塩キャラメルバター味のアイスクリームも有名なので、オムレツを食べたあとのデザートにおすすめ。
腹ごしらえをして、修道院へと向かいます。
狭い坂道をあがっていく途中でふと横を見ると、
小学生たちがさらに狭いところにいました。
いや、入りすぎ。
坂道のぼって階段のぼってどんどん上がって行きます。
モンサンミッシェルの内部
モンサンミッシェルの見所についてご紹介していきたいと思います。
ラ・メルヴェイユは修道士たちが瞑想する空間
ここは神の空間または脅威の空間と呼ばれるところ。モンサンミッシェルで一番の見所です。
ここの回廊を修道士たちが瞑想しながら歩いていたそうで、回廊に立つ2重の柱は、瞑想するのに一番いい明るさを演出するためであり、修道士の歩くリズムに合わせて交互に立てているそうです。
あまりに素晴らしいこの空間を、フランスの有名な文豪ビクトル・ユーゴーはラ・メルヴェイユ(脅威)と呼びました。
ここをつくったのは4人の建築家たち。名前は不明です。
柱の上に4人の顔らしきものが彫刻されているそうなので、探してみてください。
ここは図書館跡なのですが、ここもラ・メルヴェイユと同じ建築家たちによってつくられました。
修道院のテラスからの眺め
修道院の最上階までいくと、西側がテラスになっていて、モンサンミッシェルのまわりを見渡すことができます。
こう見るとけっこう高いですね。
鳥がいました。
ちなみに、ラ・メルヴェイユをつくった建築家の顔の彫刻同様、僕は知らなかったのですが、このテラスの地面にはところどころに数字が刻まれているそうです。
なんの数字かというと、当時の職人さんたちが自分が作業した場所につけた印で、歩合の給料に関する数字だとかなんとかってテレビで言っていました。
要塞や牢獄として使われていた歴史がある
モンサンミッシェルの見た目は美しい教会というよりはむしろ堅固なお城のよう。
実際、モンサンミッシェルは昔、要塞や牢獄として使われていたことがあります。
それは14世紀にあったイギリスとの百年戦争のとき。
モンサンミッシェルは一度も落城したことのない難攻不落の砦として活躍したそうです。
ちなみに百年戦争の勝利に大きく貢献したのがジャンヌ・ダルク。ここで戦っていたかもしれませんね。
要塞としての側面もあったため、門の上に石を落とすのがあったり、跳ね橋があったり、色々と工夫されています。
大砲が置いてある銃眼もあって、その大砲はイギリスの方を向いています。
また、ナポレオン1世の時代のときには牢獄としての役割も果たしていました。労働に使われた車輪も残っています。
130年前まで巡礼者は海を渡っていた
サン・マロ湾に浮かぶ小島モンサンミッシェル。
もともとは陸続きで森の中にある岩山だったそうなのですが、津波によって陸と島に分かれてしまったようです。
現在は島に行くには橋を渡って行くのですが、この橋昔はなくて、130年前まで巡礼者たちは海を渡ってモンサンミッシェルに向かっていました。
しかしこのあたりは潮の干満が激しい場所。
あまりの潮の流れの早さに多くの人が溺れてしまい、命を落としました。
モンサンミッシェルに行くなら遺書を置いて行けという言い伝えがあったほどです。
そこまでしてでも巡礼しなければと思わせるほど聖なる場所として信仰されていたんですモンサンミッシェルは。
潮の干満による危険をなくすため、堤防がつくられ、陸へとつながる道路もできましたが、それはモンサンミッシェル周辺の自然を破壊することになりました。
周囲に土砂がたまってしまって陸地化しそうになっていたんです。
湾に浮かぶ聖なる修道院という景観すらもなくなってしまいました。
130年前のモンサンミッシェル本来の姿を取り戻すため、2009年に堤防は撤去。自然を取り戻すための工事が行われました。
ダムをつくって、一日に2回大量の水を放流することでたまった土砂を流したりもしています。
2014年には自然を壊さないように、陸地とをつなげる橋が完成しました。
橋を渡って島に行く
島に行くにはこの橋を使って、3つの方法があります。
1つ目は無料のバス。
島まではわりと距離があるので、無料のバスで行けるのはありがたいですね。
2つ目は馬車。
モンサンミッシェルにはラ・マランゴットという馬車があって、4ユーロで乗ることができます。
馬にのって雰囲気を味わいながら行くのがいいという人にはおすすめ。
3つ目は徒歩。
島に行くとき一回は歩いて行ってほしいです。
けっこう距離があると言いましたが、全然歩けない距離ではないですし、モンサンミッシェルを見ながら徐々に近づいていく感じはけっこういいです。
早朝や夜のモンサンミッシェルを見るために何回かこの橋をわたる機会があるかもしれないので、1回は歩いて、2回目以降や疲れたときなんかはバスを使うのがいいかなと思います。
モンサンミッシェルの宿やレストランについて
モンサンミッシェルの島内にも島の外にもホテルやレストランがあります。
ただ島内のホテルは少しお高めなのと、人気があるので泊まるなら予約しておいたほうがいいかもしれません。
僕は島の外からモンサンミッシェルの景色を眺めたかったので島の外に泊まりました。
予約をしていなかったのですが、観光シーズンだったということもあり、島の外のホテルもけっこういっぱいでした。
たまたま少しだけ空いていたのでよかったです。
島の外のレストランで食事をしました。
モンサンミッシェルでは羊のお肉も有名です。
塩分を含んだ牧草を食べて育った羊のお肉だそう。
レストランの前にやたらと羊のモニュメントがありました。
羊の肉どころか全部美味しかったです。
モンサンミッシェルは日帰りより宿泊がおすすめ
モンサンミッシェルは少しパリから離れているのですが、日帰りでも行ける距離です。
でももし行くのであればぜひ一泊してほしいなと思います。
モンサンミッシェルは季節によってもそうですが、時間帯によっても全然雰囲気の違う姿を見ることができます。
頑張って早起きして見に行きました。
おはよう朝日。
夜はこんな感じ。遠目でも近くからでもきれいでした。
ホテルによっては、部屋から夜のモンサンミッシェルを見ることもできます。
そしてこれが昼のモンサンミッシェル。
修道院の中もよかったですが、外から見るモンサンミッシェルの姿が一番好きですね。
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