旅の本

『旅するように生きてみたら〜お金と時間から自由になる20の方法』

著者:有川真由美
出版社:毎日新聞出版
発売日:2017/6/25

本書は作家であり、写真家でもある有川真由美さんによる本。

本の中で、「人生の旅の半分を過ぎたところで思う。」という一文があったので、おそらく50歳過ぎの方なんだと思います。

これまで、化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、様々な職業を経験されてきました。

セカンドワークやアルバイトも数えると50以上もの仕事をしてきたそうです。

たくさんの働く人や現場を見てきた経験から、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を出版するに至ります。

デビュー作の『あたりまえだけどなかなかわからない働く女のルール』をはじめ、『感情の整理ができる女は、うまくいく』や『仕事ができて、なぜか運もいい人の習慣』、他多くの書籍をこれまで刊行してきました。

有川さん自身、40カ国以上も旅した経験をお持ちで、旅エッセーを手がけていたり、『人生で大切なことは、すべて旅が教えてくれた』という本も書かれています。

仕事だけでなく、働く場所、暮らす場所も転々とされてきた有川さん。都会暮らしや田舎暮らし、海外暮らしも経験し、旅するように生きてみてわかったこととは。

どのような本か?

本書のタイトルは『旅するように生きてみたら〜お金と時間から自由になる20の方法』となっていますが、内容は有川さんの2016年から2017年はじめにかけてまでの約一年間の記録となっています。

有川さんにとって多くの出会いや出来事があった、非常に濃い一年だったそうで、それまでの経験と合わせて、旅するように生きるために、お金と時間から自由になるために必要な考え方みたいなものをまとめた本になっています。

僕は読みながらなんとなく違和感があったんですけど、その理由は、タイトルで想像していた内容と少し違うかったからです。

もう少し具体的な方法が書かれているのかなと勝手に思っていましたが、

どちらかというと、『お金と時間から自由になるために必要なこと』というタイトルの方が、しっくりきます。

※あくまで個人的な感想です。タイトルにケチをつけたいわけではありません。

思っていたものとは少し違うかったものの、本の内容はおもしろく、実体験をもとに書かれているので説得力のある内容で、参考になることも多かったです。

住まいを移し、たくさんの人と出会った一年間

本書は有川さんの一年間の出会いと出来事を綴ったリアルエッセイ。

まず、鹿児島県の田舎に住むことを直感で決めるところから始まります。

廃墟となっていた農家をリノベーションして、その地域に住む人たちと、みんなげ〜(鹿児島弁でみんなの家という意味)をつくります。

みんなで作った、みんなで楽しめる、みんなの家。まさに大人の遊び場なるものをつくっていて、羨ましく思いました。

僕ももう少しお金と時間に余裕ができたら、みんなが集まれる、溜まり場みたいな家をつくりたい。

田舎暮らしをすることを決めた有川さんでしたが、移住というわけではなく、他に仕事場も設け、都市部と田舎を行き来する生活を送っていました。

本書では、みんなげ〜(みんなの家)を作るところからはじまり、田舎で多くの人たちと出会い、その人たちと様々なことをしてきて感じたこと、思ったことが綴られています。

特に印象に残っているのは、「楽しんで続ける社会貢献」が後でお金と時間を生み出す、という章。

この章では「ゆずり葉プロジェクト」というのが紹介されていました。

なにかというと、使わなくなって家の中に眠っている服や着物、雑貨などを安く販売し、売り上げの一部を寄付に充てたりして、社会貢献をしようというもの。

もともと、東日本大震災が起きたときに、なにか自分たちにできることはないかと、期間限定のイベントとして始めたものらしいです。

ずっと続けて欲しいという要望などもあって今も続いている取り組み。

そのプロジェクトに携わるシズカさんという方の言葉がとてもいいものでした。

だれかのためになにかをしたいという思いは、みんな同じ。でも単なる寄付やボランティアだと続かない。モノを持ってきてくれる人がよろこんで、買ってくれる人がよろこんで、支援先の人がよろこんでくれる。なにより、これまで活用されていなかったモノが生かされて、よろこんでくれているって感じるのが、私たちはうれしいのよ。

誰かのために何かをすることが好きっていうのは立派なことだけど、寄付やボランティアだけやってても長くは続けられない。

もしかしたら自分の生活がままならなくなるかもしれないし、モチベーションを長く保つのは簡単なことじゃないから。

反対に自分が楽しめることを中心に生きていきたいって思う人も多いけど、それだけじゃなく、誰かのために何かをすることは価値があるし、続けていくモチベーションにもなりますよね。

「自分が楽しめる」ことと、「誰かに何かを提供する」こと。この2つ両方とも大事だなと思いました。

旅するように生きるための七カ条

有川さんのように、旅するように生きるために必要な7つのことを本より抜粋し、以下にまとめました。

  1. 世の中に対して「なにができるか」を考え続けること
  2. 失敗を当たり前だと考えて、一歩を踏み出すこと
  3. 万が一の「逃げ道」を準備していること
  4. 出会った人を時間をかけて大切にすること
  5. 人との比較ではなく、自分の「好き」を追求すること
  6. 先の予定を決めすぎない、モノを持ち過ぎないこと
  7. 難しく考え過ぎず、ものごとを明るく、シンプルにとらえること

有川さんは、38歳で突然失業したとき、自分が本当にしたいことは何か?と考えたそうです。

お金がないからとか、時間がないからとか、能力がないからとか、そういった理由は一切抜きにして。

そうやって考えるうちに、出た答えが、「様々な場所に行って、色々なものを見て経験して、それをもとに文章を書いたり、写真を撮ったりして、人に伝えたい、人に喜んでもらいたい」ということ。

自分がやりたいことが明確になって、まず世界一周の船旅をしたそうです。

周りの目を気にせず、自分のやりたいことをやる。口で言うのは簡単ですが、実際に行動に移すのは難しいです。

僕だったら、38歳で世界一周をしようと思っても、実際に行動に移せる自信がありません。

でも自分のやりたいことをやって、現在、本当にそういった生き方を実現されていてすごいなと思います。

行動に移すのは難しいですが、会社を変える、仕事を変える、住む場所働く場所を変える、生活スタイルを変える、選択肢はたくさんあります。

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