Webデザイナーになるために資格は必ずしも必要というわけではありません。
Webデザイナーを募集している会社に採用されれば、Webデザイナーとして働けますし、フリーランスとして仕事をする場合でも、Webデザイナーと名乗るのは自由です。
実際にWebデザイナーの求人に応募して面接を何度か受けてみて、資格を有しているかどうかを聞かれたことはありません。
どちらかというと、今までどのようなWebサイトをデザイン、制作したことがあるのかを聞かれることが多く、ポートフォリオ(自己作品集)の提出を求められます。
面接には人事の方だけでなく、デザイナーなど技術者が同席することがほとんどで、制作物を見るとだいたいどのようなことができるのかがわかるからです。
とはいえ、資格というのは自分のスキルを示すのに有効で、自分がWebデザイナーとしてどのような知識を持っているのかが第3者からもわかりやすくなります。
独学でWebデザインをされている方は特に、自分で勉強していることが正しいのか不安に思うこともあると思います。僕がそうでした。
そのため資格取得の勉強は、体系的に知識をつけるのに最適です。
また、履歴書に記載しておけば、面接時の話のネタにもなりますよね。
向上心の高さもアピールできます。
Webデザイナーとして取得しておいて損はない、Webデザイン関連の資格をまとめました。
ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定はWebデザイン関係唯一の国家資格。
厚生労働省認定のもと、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会が管理・実施しています。
この検定はWebデザインだけでなく、ネットワーク・セキュリティ・アクセシビリティ・サイトの運用や管理など非常に幅広い内容を網羅しています。
試験は1級〜3級まであり、3級に関してはこれからWebデザインの仕事をしたいと考えている人でも実務経験なしで受験することができます。
1級、2級は1つ下の級を合格しているもしくは他の受験資格に該当していれば受験することができます。
すでに実務経験が数年あったり、協会が認めるWeb制作関連の内容を学んだ学校を卒業していれば、1級や2級から受験できる可能性がありますが、これからWebデザイナーになりたいと考えている人や経験が浅い人はまず3級を受験しましょう。
どの試験も学科・実技の2部構成となっており、合格基準は70点以上(100点満点)です。
見事合格すれば、「◯級ウェブデザイン技能士」などと名乗り、表記することができます。
試験の難易度ですが、合格率は以下のようになっています。
- 1級:10%-20%
- 2級:40%-50%
- 3級:60%-70%
もちろん、年度や開催回によって合格率は変動しますが、3級では7割ほどの合格率があるものの、1級ともなると2割ほどです。
ウェブデザイン技能検定は2007年から実施されるようになって歴史が浅いということもありますが、1級の取得者の数は2016年まででわずか63名。
なかなかWebデザインの資格が世に浸透していない気がしますが、唯一の国家資格なので、取得する価値は十分ありそうです。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験は株式会社サーティファイ Web利用・技術認定委員会が主催している検定試験。
Webデザイナーとして基礎となるスキルを証明できる資格です。
試験はスタンダードとエキスパートの2種類。受験するのに実務経験などは関係なく、学歴や年齢などの制限も一切ありません。
エキスパートの試験には少し学科の問題もありますが、基本的にはスタンダードとエキスパートのどちらもテキストエディタを使用した実技問題が重視されています。
Webサイトの構成や設計の技術が求められ、HTMLとCSSの作成、画像の表示に加えて、エキスパートの方ではJavaScriptを用いた動きのあるWebページを作れる技術も必要となってきます。
また、配色やビジュアルデザインの知識もある程度は必要です。
合格基準は得点率65%以上。平成29年3月31日まででおよそ8000人以上の人が受験し、平成28年度の平均合格率は90.8%でした。
実技試験が多いものの、試験の難易度は低く、初めての人でも受験しやすそうですね。
試験には実際の制作現場のワークフローに基づいた内容が中心となっているため、この試験に合格して体系的な知識と技術を身につけることで、仕事に生かしやすいと思います。
HTML5プロフェッショナル認定資格
HTML5プロフェッショナル認定資格は特定非営利活動法人エルピーアイジャパン(LPI-Japan)が認定する資格で、主にHTML5、CSS3、Javascriptなどのマークアップに関する知識や技術の証明に役立ちます。
試験はレベル1とレベル2があり、レベル1はHTML5を使って、レスポンシブデザインなどマルチデバイスに対応したWebコンテンツをデザイン・制作できるかどうかがポイントです。
一方レベル2はWebアプリケーションや動的なコンテンツの開発・設計、システム間の連携技術など、プログラマーやマークアップエンジニアとよばれる職種が対象となっています。
そのためWebデザイナーであればレベル1を受験してみてはいかがでしょうか。
Webデザイナーの仕事はとても幅広いので、レベル1を取得後、レベル2も取得できるようであれば、かなり強みになるかと思います。
試験内容自体は、知識を問われるものよりも、制作現場で必要となる能力があるかどうかを問われるような問題が多いので、実際に手を動かしてコードを書くなどして、マークアップの技術を身につけるよう学んで対策する必要がありそうです。
合格点は非公表となっていますが、だいたい7割程度の正答率は必要かと思われます。
合格すると認定者ロゴを名刺に使ったりできますよ。
また、HTML5プロフェッショナル認定資格は、「Webデザイナー白書2013-14」の”取得したい資格”で1位になりました。
「HTML5全員取得」というのを推進している企業もいくつかあるそうで、様々なデバイスに対応しているHTML5の技術を身につけることはWebデザイナーとして必須ですし、これからますますこの資格の必要性も高まっていくかもしれません。
Webデザイナー検定
Webデザイナー検定はCG-ARTS協会が主催している、Web制作の知識習得を評価する検定です。
グラフィックスからWebまで手がけるデザインの総合誌「MdN」公認の検定でもあります。
試験はベーシックとエキスパートの2種類。
ベーシックではWebサイトの企画、デザインから制作までの基礎知識が問われ、コンセプトメイキングや運用など多様な知識が求められます。
エキスパートの方は、動きや音に関する問題も出され、より専門知識の理解を深めていないといけません。
合格基準点は70点(100点満点中)。ベーシックの合格率はおよそ60%〜70%ですが、エキスパートの合格率は30%〜50%となっているので、エキスパートは実務経験がないと少し難しく感じるかもしれません。
Web検定 Webデザイナー試験
株式会社ボーンデジタルが運営するWeb検定では、4つの検定があります。
そのうちのひとつがWebデザイナー試験。(他にはWebリテラシー試験・Webプロデューサー試験・Webディレクター試験があります。)
ビジュアルデザイン・HTMLやCSSのマークアップ・アクセシビリティなどの幅広い知識をきちんと理解しているかが問われ、Webデザイナーを目指す学生や社会人、すでにプロのWebデザイナーとして仕事をされていて、その知識を確認・証明したい人が対象となっている試験です。
公式テキストを中心に試験問題は出題され、合格基準は正答率が70%以上となっています。
合格率は年度によってけっこうばらつきがあり、難易度は測りづらいのですが、受験資格は特にないので、誰でも受験することができます。
目的は資格の取得ではなく知識や技術の習得
Webデザイナーにおすすめの資格をいくつか紹介しました。
調べているとまだまだ他にもありました。配色の知識もデザイナーとしてのスキルアップを磨くのに役立つと思うので、色に関する資格なども含め、随時Webデザインに関する資格を追加していこうと思います。
Webデザイナーの国家資格として認められているのは今のところウェブデザイン技能検定のみで、他の検定は民間企業が主催しているものが多いですね。
ウェブデザイン技能検定でさえ、まだまだ取得者が少ないように思えます。
これはWebという分野が比較的新しいというのもありますが、資格の有無よりも、「何ができるのか」「どういったものをつくれるのか」というのを優先して考えているデザイナーやクリエイターが多いからだと思います。
資格取得が一番の目的になってしまってはダメですし、資格取得の過程で学んだことを実務で生かすことが何より大事ですからね。
資格の取得は自分の知識や技術をつけるため、確認するため、そして証明するために利用してください。
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