イギリスでは有名な人物が住んだ家や働いた場所などの建物の外壁に「ブルー・プラーク(Blue Plaque)」という青いプレートが掛けられています。
ブルー・プラークは、その人物を褒め称えるだけでなく、建物の歴史的なつながりを伝えるために設置されています。
ブルー・プラークってどんなプレート
ブルー・プラークは現在、大きさ48センチメートルの青い円状のプレートに、名前や職業などが白で表記されているのが一般的です。
材質は主に陶器または樹脂を固めたもの。
これは、第二次世界大戦後の標準的なデザインで、昔はブラウン、テラコッタ(レンガのような色)、グリーン、ブロンズ、鉛、石のプラークなど様々な色や材質が試されたそうで、四角形のプレートもあったのだとか。
出典:ENGLISH HERITAGE
ブルー・プラークを管理する団体
ブルー・プラークの設置が始まった1866年。
当時の管轄組織は「英国王立人文科学協会」という団体でしたが、その後は「ロンドン・カウンティ・カウンシル」、「グレーター・ロンドン・カウンシル」と設置団体が変わり、1985年以降そして現在(2017年11月現在)は「イングリッシュ・ヘリテッジ」という歴史的建造物の保護を目的とする団体にブルー・プラークの管理権限があります。
毎年およそ20のブルー・プラークが新規に設置されていて、2017年11月現在では900以上ものブルー・プラークがイギリス国内に設置されています。
ちなみに、最初はロンドンのみがブルー・プラーク設置の対象となる街だったのが、1998年以降は対象がイギリス全土に拡大したのだとか。
ブルー・プラークの設置条件
1954年にイングリッシュ・ヘリテッジによってブルー・プラークの選出条件が制定されました。
対象となる人物は死後20年もしくは生後100年が過ぎていること。
その人物が「人類の繁栄と幸福に重要かつ積極的な貢献」をした人物であり、「非凡かつ傑出した個性を持った」人物であり、国民がそう認識するに値する人物でなければならない。
wikipediaより
150年以上前にロンドンから始まったブルー・プラーク計画は、主に国民の提案によって推進してきたもので、今でもブルー・プラークの推薦をすることができます。
1人につき1つのブルー・プラークしか作れないそうで、イングリッシュ・ヘリテッジに問い合わせると、すでにその人のブルー・プラークがあるかどうか、現在検討されているかどうか、以前に却下されたことがあるかどうかなどを教えてくれるみたい。
もちろんすべての提案が通るわけではなく、先ほど紹介した設置基準などにもとづいて調査・判断され、2〜3年かけてブルー・プラークは職人によって作られます。
架空の人物や日本人のプラークもある
ブルー・プラークが設置された珍しい例があります。
それはイギリスの小説家アーサー・コナンドイル。
ではなく、コナンドイルの書いた推理小説「シャーロック・ホームズ」に出てくるホームズです。
出典:Wikipedia
架空の人物でありながら、シャーロック・ホームズが住んでいたとされるベイカー街221Bにブルー・プラークが設置されています。
『シャーロック・ホームズ博物館でホームズの家が再現されている』で書いたのですが、ベイカー街221Bという住所には現在、「シャーロック・ホームズ博物館」があります。
実はシャーロック・ホームズ博物館について調べているときに、ブルー・プラークのことを知りました。
なのでシャーロック・ホームズ博物館に行ったときはブルー・プラークのことをまだ知らなくて、建物の外壁にそんな青いプレートがあったことさえ気づかなかったです。
おそらくロンドン観光しているときに他のブルー・プラークを見ていてもおかしくないと思うのですが、全然気にも留めなかったので悔やまれます。
出典:ENGLISH HERITAGE
あと、日本人では唯一、夏目漱石のプラークもあるそうで、夏目漱石がロンドンに留学していたときの下宿に設置されています。
ブルー・プラークを探すアプリもあるみたいなので、イギリスに行かれるときは、観光ついでにブルー・プラークも探してみてください。
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