出版社:いろは出版
発売日:2016/8/11
この本は執筆家でモバイルボヘミアンの四角大輔さんと株式会社TABIPPOによって作られた本です。
四角さんはニュージーランドの湖畔での半自給自足の生活をベースに、1年の半分近くは世界中を移動しながら生活をしている、まさに自分らしい生き方を体現している方です。
モバイルボヘミアンが何かは、四角大輔さんの著書『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』を読むとよくわかりますが、簡単に言うと、旅するように自由に働いたり、自由に暮らしたりする生き方のこと。
好きな場所ニュージーランドで、好きなように暮らし、好きなように働いている四角さんの生き方そのものですね。
一方TABIPPOは、世界一周を経験した人たちが学生時代に立ち上げた団体が前身で、2014年に株式会社となってからは、イベントを開催したり、キャリア支援を行ったり、ものづくりブランドを立ち上げたりと、旅を軸に様々な事業を展開しています。
本書は、様々な性別、年齢、職業の10人の旅人たちによる「原体験としての旅」のエピソードと、「原体験としての旅」を経験している4人の一流アーティストと対談した内容で構成されています。
原体験としての旅が本書のテーマ
本書の最大のテーマは原体験としての旅。
原体験というのは、後々の思想形成に大きな影響を与える体験のことで、それは旅をすることで得られます。
みなさんには忘れられない旅をした経験がありますか?
旅には大きいも小さいもありませんし、優劣なんてありません。
TABIPPOを立ち上げた人たちはみんな世界一周をしていてすごいですが、世界一周していなくたっていいんです。
四角大輔さんは本書で、小学生時代に湖まで毎週2時間かけて自転車で行った旅が、自分の人生の中で今も忘れることない衝撃的な体験だとおっしゃっています。
原体験としての旅をしたことがあるかどうか。もしなければ今すぐにでも旅に出るべきだとも書いてありました。
なぜ原体験としての旅をすすめるのか
なぜ原体験としての旅をそれほどすすめるのかというと、これは本の内容にすごい共感できる部分だったのですが、旅は人生をデザインしてくれるんです。
それも自然で正しく。
旅をするということは、自分が一番自然体でいられる時間を過ごしていることだと思うんです。
誰かに何を言われるわけでもなく、自分でなんでも決めることができる。同じ場所に長期間いたっていいし、次から次へと違う場所に移動してもいい。
何にも縛られず、自分の意思で行動していると、自分が本当に何をしたいのかがわかってきます。
そうして出た答えが、自分だけの生き方をするきっかけになるんです。
10人の旅人が語るエピソードと4人のアーティスト
10人の旅人がどのような原体験としての旅をしてきたのか書かれています。
その10人は性別も年齢も違えば、職業も全く違います。
テレビディレクター・LGBTメディア代表・救命救急医・カフェオーナー・エンジニア・美容師・起業家・高校教師など。本当に様々な職業の方たちの旅のストーリーです。
それぞれ違った旅を経験していますが、どの旅もその後の生き方をつくった原体験となっています。
逆に言えば、どのような仕事をして生きていくとしても、原体験としての旅は必ず活きるということです。
また、四角さんとTABIPPOの代表である清水直哉さんが4人の方と対談されています。
その中には、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんとの対談もありました。
西野さんにとっての原体験の旅は、小学生のときに電車のトンネルと鉄橋を全力疾走したことらしいです。
たった数百メートル走っただけかもしれないけど、当時の西野さんにとってはそれがとんでもない大冒険だったそうで、今でも思い出して興奮できる出来事って、やっぱり今の生き方にもかなり影響を与えていると思うし、それが原体験となっているんだと思うんですよね。
現在はウォルトディズニーを倒す旅をしているそうで、本当に面白い生き方をしている方だなと思いました。
僕にとっての原体験の旅
僕はフランス留学後、2ヶ月間ヨーロッパを一人で旅しました。
それが今の自分にとっての原体験としての旅ですね。
その旅を経験するまで、自分がどういう人生を歩むのか、全く方向性も見えていませんでした。
海外で生活して、異文化に触れてみたい。ただそれだけの理由でフランス留学を決めた僕は、仕事で使えるほど外国語が堪能になったわけでもなく、帰国したらどうやって就職活動したらいいんだろうと悩んでいました。
せっかく留学を経験したし、旅行会社を受けようかな?とか、やっぱり安定が一番だから公務員を目指そうかな?とか。そんな感じでした。
それがヨーロッパでの一人旅を経験して、全て変わりました。
フランス留学、ヨーロッパ一人旅を終えて日本に帰国した1年後、WEBデザイナーになりました。
どういう心境の変化・考えの変化でそこに至ったのか、紆余曲折は別の機会に説明したいと思うんですけど、旅をしていたときは、もちろんWEBデザイナーとしてのスキルは0です。
専門学校に通っていたわけでもないですし、もともと興味があったわけでも、芸術センスがあったわけでもありません。
とにかく、ヨーロッパ一人旅が、その後の自分の生き方を決める、大きな原体験としての旅となったんです。
旅をするということは、半ば強制的に原体験を得られる、唯一の方法です。
[…] 著書には、『自由であり続けるために、20代で捨てるべき50のこと』をはじめ、以前紹介した『The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅』があります。 […]