ベルリンにあるこの門。ブランデンブルク門というのですが、何かで見たことあるようなないような。知っているような知らないような。とりあえず多くの観光客がこの門の前で写真を撮っていたので、自分も一応撮っておこうみたいな感じで写真ばかり撮っていました。
旅行あるあるですね。
せっかく行ったところなので、そこがどういう場所なのか、どういう建物なのか、歴史のなかでどういう役割を果たしてきたのか知りたい。なので、ちゃんとブランデンブルク門のことも知っておこうと思った次第です。
ベルリンの歴史を見てきたブランデンブルク門
調べてわかったことは、ブランデンブルク門は、東西ベルリンの分断、統一など、これまでベルリンで起きた歴史的な出来事に立ち会ってきたとても重要な門だということ。
ベルリンはかつて城郭都市でした。ベルリンの壁ができる以前にも壁があったのか…。
ベルリンを囲っていた要塞が廃止になり、代わりにできたのが税関壁。ベルリンから各都市に向かう道と税関壁が交差するところに税関の門を設けました。
ブランデンブルク門もその一つで、ブランデンブルク門を含む14カ所に税関門がつくられました。税関門はのちに18カ所に増えます。
門の名前には都市名などがつけられています。例えばハンブルク門やポツダム門など、知っている都市もいくつかありました。
ブランデンブルク門の東はウンター・デン・リンデンという通りがプロイセン時代の王宮まで続いており、かつてプロイセンの王族がベルリン市街を出る際によく通っていたことから、ブランデンブルク門はベルリンの正門のような位置づけにありました。
これが東側から見たブランデンブルク門。門の存在感ってすごいです。
ブランデンブルク門の上にあるヴィクトリア像
ブランデンブルク門の上にあるのは、馬車に乗った勝利の女神ヴィクトリア像。女神が隠れてしまった。
ちなみに4頭の馬が引くローマ帝国時代の車をクアドリガといいます。クアドリガ。クアドリガ。絶対覚えられない。
実はこのヴィクトリア像は一度奪われています。
奪ったのはフランスの英雄ナポレオン・ボナパルト。プロイセンがナポレオン軍に敗れ、ベルリンを支配されると、ナポレオンはその戦利品としてヴィクトリア像をフランスに持ち帰ったのです。
しかしそのまま黙っていないプロイセン。その後のナポレオン戦争で勝ったプロイセンはヴィクトリア像を奪い返し、ブランデンブルク門の上に再度置かれることになりました。さすがは勝利の女神。
ブランデンブルク門はもともと平和の象徴とされていましたが、この出来事をきっかけに、戦勝と凱旋の象徴になりました。
広場の名前がカレ広場からパリ広場に変わったり、門の上に戻ってきたヴィクトリア像が持つ杖に、勝利の記念として鉄十字の紋章が取り付けられたりもしました。
激動の歴史の中で残ったブランデンブルク門
ブランデンブルク門が建てられたのが1791年で、ナポレオン戦争が終わったのが1815年。1800年代の後半には税関壁がなくなり、多くの門がなくなる中、ブランデンブルク門は残されましたが、それから数十年経ってから大きな出来事がありました。1939年に起きた第二次世界対戦です。
1945年まで続いたこの歴史上最も大きな戦争で戦地にもなったベルリン。ブランデンブルク門も損傷し、廃墟となってしまいます。
それだけでなく、1961年にはベルリンの壁による東西分断。ベルリンの西側を取り囲むように建てられた壁のすぐ外側、つまり壁の東側に役割をなくしたブランデンブルク門がある状態でした。
昔はお金を払えば通れたのに、お金を払うどころか壁があるから門にすら辿り着けないなんて。
そんなベルリンの壁を越える日が、ブランデンブルク門を再び通る日が、訪れることを当時の人はどれだけ待ちわびたことでしょう。
1989年、ベルリンの壁が崩壊して、市民の願いは叶いました。
ベルリンの東西分断のときには、ヴィクトリア像の杖は社会主義国らしくなるようにと平和の象徴であるオリーブの杖に変えられていましたが、ベルリンの壁崩壊後は、再び鉄十字の紋章に。そして、門も修復工事が行われ、元の姿を取り戻します。
ブランデンブルク門は今やベルリンの象徴
ヴィクトリア像を奪われたり、取り戻したり。第二次世界大戦があったり、ベルリンの東西分断や再統一があったり。
単にブランデンブルク門は昔からあるというだけではなく、ベルリンの、ドイツの歴史的な大きい出来事に立ち会ってきたということがすごいところです。
そりゃあベルリンの歴史を象徴するシンボルになるのもうなずけます。ドイツのユーロ硬貨の裏面にブランデンブルク門が使われるのも納得です。みんなが門の前で写真を撮りたくなるのもわかります。
間近で見るとかなり大きいです。
門を通るのも10メートル以上は歩きます。なんでしょうこの吊り下げられているのは。
ベルリンに行ったときは、このブランデンブルク門を訪れ、とりあえず門の前で写真を撮り、西から東に門をくぐり抜けてみましょう。
[…] ベルリンの歴史を象徴するブランデンブルク門について […]