イタリア

ピサの斜塔は鐘楼なのに鐘を鳴らさない理由

ピサのドゥオモ広場にある「ピサの斜塔」

イタリア中部の都市フィレンツェから電車で約1時間。かつて4大貿易都市として栄えた町、ピサがあります。

奇跡の広場とも言われているピサのドゥオモ広場は、世界遺産にも登録されています。

ドゥオモ広場には大聖堂、洗礼堂、鐘楼、墓所回廊などが建てられており、この鐘楼こそが有名な「ピサの斜塔」です。

ピサの斜塔
ピサの斜塔は8階層になっており、高さ55.86m、重量14,453t、螺旋状の階段が296段ある大理石の塔です。

以前は最も傾斜している建物としてギネスブックにも登録されていましたが、2009年にピサの斜塔に代わって、ドイツにある教会の尖塔(ズールフーゼンの斜塔)の方が傾斜しているとしてギネスブックに登録されました。

さらに2010年には、アラブ首長国連邦アブダビにあるキャピタルゲートビル(35階建てビル)が新たに登録されました。

ズールフーゼンの斜塔はピサの斜塔と同様、自然に傾いた建物ですが、キャピタルゲートは意図的に傾けたデザインにしています。

ギネス記録を譲る形になったわけですが、知名度で言えばやはりピサの斜塔が有名ではないでしょうか。

ピサの斜塔は鐘楼なので、鐘の音で時刻を知らせる役割があるのですが、実はピサの斜塔の鐘は鳴らしていないんです。

ピサの斜塔の鐘を鳴らさない理由

ピサの斜塔はチケットを購入して、実際に登ることができます。

予約をしていった方がいいとネットの情報にはありましたが、予約をしなくてもチケットを買うことができました。

観光シーズンで人が多いと人数制限などがあるのかもしれません。

中に入るとピサの斜塔に関する展示資料があるので、それを見てから296段ある大理石の階段を上っていきます。階段は人がすれ違うのがやっとの狭さです。

階段を上がっていると体の重心が右に寄ったり、左に寄ったりと、なんとも不思議な感覚です。

本当に傾いているのだと実感しました。

最上部まで行くと外に出て、ピサの斜塔の頂上からの眺めを見ることができます。

ピサの斜塔

ピサの斜塔
同じ広場にある大聖堂などはもちろんのこと、ピサの町も見渡すことができます。

ピサの斜塔
そして最上部には鐘がいくつかあります。

ピサの斜塔
これらの鐘が本来は時刻を知らせる役割のはずなのに、鳴らさない鐘です。

ピサの斜塔の鐘を鳴らさない理由。それは鐘の音の振動によって、ますます傾いてしまう恐れがあるからです。

そのため時報にはピサの斜塔の鐘を鳴らさず、スピーカーで鐘の音を流しています。

そのスピーカーの音源はバチカン市国にあるサン・ピエトロ寺院の鐘の音を使っています。

ピサの斜塔はなぜ傾いているのか

そもそもなぜピサの斜塔は傾いているのでしょうか。

ピサの斜塔
ピサの町にはアルノ川が流れています。

ピサの斜塔はそのアルノ川が運んできた土砂の上に建っており、地盤の土質が不均質で弱かったため、建てている途中で徐々に傾きはじめ、その傾斜を修正しきれなかったそうです。

当初の計画ではもっと高い鐘楼ができる予定だったのですが、傾斜によって現在の高さになりました。

ピサの斜塔の傾きは修正されている

ピサの斜塔は倒壊するのではないかと危惧されていて、これまで何度か対策が施されてきました。

地下水が地盤を柔らかくしてしまうのを防ぐために薬液を入れたり、傾斜そのものを修正するための工事などです。

地盤の改良は難しく、傾斜の修正がピサの斜塔の倒壊を防ぐための一番現実的な解決策だろうと、10年間にもわたって傾斜の修正工事が行われました

ピサの斜塔は南側が沈下して傾いているため、北側の地盤を掘るという工法が使われました。

10年間にも及んだ工事の結果、傾きは5.5度から3.99度になりました。

少なくともあと300年は倒壊の危険はないそうです。

ピサの斜塔
建設する前にもっと地盤の調査などをしていればこのように傾くこともなかったのではないかと思ったりもしますが、この傾きこそが一番の特徴になって、ピサの斜塔が世界的に知られる一番の要因になったのだからおもしろいですね。

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