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「スポーツアナリティクスの未来」というテーマの講義を聞いてきた

先日インテックス大阪で開催された西日本最大級のスポーツ・健康産業総合展「SPORTEC WEST 2018」に行ってきましたが、会場で色々なセミナーもやっていて、「スポーツアナリティクスの未来」というテーマの講義(無料)を聞いてきました。

スポーツアナリティクスはスポーツにおけるデータ分析のこと。

証券アナリストや不動産アナリストなど、様々な業界でデータ分析のスペシャリストがいるわけですけど、スポーツアナリストというのは意外と聞き慣れない職業かもしれません。

海外のスポーツ業界は日本よりも進んでいて、スポーツアナリティクスもこの10年で欧米を中心に大きく進化し、それがスポーツ産業の成長要因だといいます。

そのスポーツアナリティクスは、日本のスポーツにどんな変化をもたらしつつあるのか、どんなチャンスや可能性があるのか、というのをスポーツアナリストとして最前線を走ってきた専門家たちの話を聞いてきました。

話をしてくださった講師は一般社団法人日本スポーツアナリスト協会の代表理事を務める渡辺 啓太氏と理事を務める千葉 洋平氏。

渡辺さんは全日本女子バレーで10年以上にわたりスポーツアナリストをしてきた方で、北京・ロンドン・リオオリンピックでチームを支えた一人。

2014年に、日本スポーツアナリスト協会を立ち上げた人でもあります。

千葉さんは主にフェンシングでアナリストをしていて、この方もロンドン・リオオリンピックで大きく貢献し、現在は東京五輪に向けてフェンシング強化部アナリストを務めています。

また、株式会社スポーツマーケティングラボラトリー石井 宏司氏が司会を務め、渡辺さんや千葉さんに質問を投げかけたりしながら、わかりやすく講義を進めてくれました。

講師の方々にはそれぞれの経験談、スポーツアナリティクスの現状、未来などについての話を聞きました。

話を聞いていると、試合や普段の練習からデータを取り、それをどう生かすか常に考えていて、選手やコーチたちともコミュニケーションを取ったり、もちろん競技の知識もないといけないですし、データを分析する以外にも幅広いスキルが必要だと感じました。

昔はデータよりも根性で頑張るのがスポーツ業界だったかもしれませんが、今はもう違います。

当たり前だと思われていた理論がデータによって覆ったり、テクノロジーを活用することで、根性よりも効率よくパフォーマンスを向上させたり、結果に結びつけることができます。

また、データアナリティクスの活用は選手の育成やチーム強化にだけにとどまりません。

センシング技術(センサーを使って色々な情報を計測する技術)が発達し、大量のデータを取れるようになり、エンターテイメントやメディアなどあらゆる分野にも活用できるようになりました。

パフォーマンスの領域だけでなく、スポーツビジネスという領域においてもスポーツアナリティクスは重要なキーワードになりそうです。

ただ、スポーツアナリティクスの発展に伴って残念に思うこともあります。

それは選手たちが自分のしたいプレーをできないということ。

「自分はこういうプレーがしたい」と思っても、「いやいや、データではこのプレーの方が得点の確率は高い」と言われれば、もう自分のやりたいプレーなんかできなくなると思います。

合理的に考えれば、データというのは大きな根拠であり、説得力であるので、何も言い返せなくなりますし、勝ちにこだわるなら自然とそういう流れになる気がします。

まぁデータだけでは全てが決まらないのがスポーツの面白いところですけど、個人的にはスポーツアナリティクスによって選手やチームのレベルが格段に上がって、かなりハイレベルのスポーツが見られるのが楽しみです。

あと選手の能力がテレビとかで可視化されるのも面白い。

スポーツアナリティクスの未来についてですが、データはだいぶ取れるようになってきたので、必要な情報をテクノロジーが提供したりすることで、スポーツアナリストの作業量が減るとありがたいとおっしゃっていました。

データを分析する前に、必要なデータを精査するのが大変なのだと思います。

選択肢が多くてもダメなので、大量のデータからなるべく絞って、わかりやすく監督やコーチ、選手に伝えるようにしているとのこと。

今後必要な情報を選ぶのは人工知能が担ってくれると思うので、かなりスポーツアナリストの負担も減りそう。

これからのアナリストは、選手や指導者が気づけないことを発見できる力や情報の統合力、統合したものを伝達する力などが必要だといいます。

スポーツアナリストという一般的にはまだまだ馴染みのない職業ですが、おそらく興味のあるひとはたくさんいると思います。

実際にスポーツアナリストになるためにはどうすればいいのかわからないという人も多いと思いますけど、日本スポーツアナリスト協会としては、アナリストになれるためのプログラムを作ったり、資格を作りたいとのこと。

1時間半の講義の中で、とても面白い話を聞くことができ、スポーツアナリティクスのことが少しわかった気がします。

スポーツアナリストがもっと増えて、テクノロジーももっと進化して、スポーツ業界全体のレベルが上がり、それがスポーツビジネスにも繋がったり。スポーツ業界の未来は明るい気がするなぁ。

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