写真の基礎知識

被写界深度とは?絞り・焦点距離・撮影距離の関係性と表現効果

絞り・焦点距離・撮影距離と関係している被写界深度。

難しい言葉のように思えますが、それほど難しいものではありません。

被写界深度とは何か?絞り・焦点距離・撮影距離とどういう風に関係しているのか?

また被写界深度が写真にどのような表現効果を与えるのかご説明します。

被写界深度とは?

被写界深度とは、被写体の前後でピントが合っているように見える範囲のこと。

被写体にピントを合わせると、被写体の前後はピントが合っていたり少しボケてしまったりすることがあります。

被写界深度の説明図

その被写体の前後のピントが合っている範囲が狭いことを「被写界深度が浅い」といい、ピントが合っている範囲が広いことを「被写界深度が深い」といいます。

被写界深度が深いことは「パンフォーカス」ともいいます。

被写界深度が浅い場合と深い場合を見比べてみましょう。

被写界深度が深い
こちらは被写界深度が深い場合。いわゆる被写体の前後でピントが合っている範囲が広いということなので、少し全体的にぼやーっとはしていますが、後ろのALMONDの文字は読めます。

被写界深度が浅い
被写界深度を浅く撮影するとこのように写ります。さっきの写真と違って、後ろのALMONDの文字がボケていますよね。

被写界深度が浅いというのは、被写体の前後のピントが合っている範囲が狭いということで、被写体周りがボケて見えます。

被写体の前がボケることを「前ボケ」といい、後ろがボケることを「後ボケ」といいます。

被写界深度は絞り・焦点距離・撮影距離によって決まる

最初に被写界深度は絞り・焦点距離・撮影距離と関係していると言いましたが、これらは被写界深度、つまり被写体の前後でピントが合っているように見える範囲を決めるのに重要な要素です。

それぞれを調整するとどのように被写界深度が変わるのかを表にまとめました。

被写界深度が浅い 被写界深度が深い
絞り(F値) 小さい 大きい
焦点距離 長い(望遠) 短い(広角)
撮影距離 近い 遠い
被写体と背景 遠い 近い

絞りと被写界深度

絞りとはレンズを通して入る光の量を調節するもので、その値のことをF値とも言ったりするのですが、F値が小さいと被写界深度は浅くなり、F値が大きいと被写界深度は深くなります。

絞りについて詳しく知りたい方は【F値(絞り値)でカメラのレンズを通る光量やボケをコントロールできる】をご覧ください。

焦点距離と被写界深度

焦点とレンズとの距離を焦点距離といい、焦点距離が長い場合は被写体が大きく見えて、被写界深度は浅くなります。

反対に焦点距離が短いと被写体が遠く写りますが、被写界深度は深くなります。

焦点距離について詳しく知りたい方は【一眼レフカメラのレンズにおける焦点距離と画角の関係性】をご覧ください。

撮影距離と被写界深度

撮影距離はカメラと被写体との距離のこと。

この撮影距離が近いと被写界深度は浅くなり、撮影距離が遠いと被写界深度は深くなります。

撮影距離で被写界深度を変えたいときは、被写体に近づいたり遠ざかったりすればいいということですね。

被写体から背景までの距離と被写界深度

被写体から背景までの距離も被写界深度に関係しているので項目に加えました。

被写体と背景に写っているものが固定されているものだと、撮影距離みたいに自分が動くことで変えることはできませんが、被写体が背景と離れている方が被写界深度は浅くなり、被写体と背景が近いと被写界深度は深くなります。

被写界深度による表現効果

絞り・焦点距離・撮影距離を変えることで、被写界深度を変えられることがわかりました。

被写界深度が変わると被写体の周りがボケたりしますが、それによってどのような効果があると思いますか?

被写界深度が浅いと被写体が強調される

被写界深度が浅い
これは被写界深度を浅くして撮った写真。被写体の周りがごちゃごちゃしていてもボケて自然と目が被写体にいきます。

人の顔だったり、被写体の物を強調させたいときには被写界深度を浅くするのがおすすめです。

夜にイルミネーションが綺麗な道で歩いている姿を、被写界深度を浅くして撮ると、周りに写るイルミネーションの光がボケていい感じになるなど、シチュエーションによっては雰囲気を出しやすいという効果もあります。

被写界深度が深いと風景や背景も綺麗に撮れる

被写界深度が深い
被写界深度を深くして撮るのは、風景写真や被写体と背景を綺麗に撮りたいときに有効です。

風景写真でどこか一点にピントが合って、全体的にぼやーっとしてしまっては綺麗に見えませんし、被写体だけではなくて、背景もピントが合っていないとどういう写真かを表現することができない場合もあるからです。

例えば、食事をしたお店の前で写真を撮ったとき、人は綺麗に写っているのにお店の看板がぼやけてしまっていたら台無しですよね。

こういった場合、メインの被写体(人)+お店の看板を撮るためには、被写界深度は浅めより深めの方がいいということです。

このように被写界深度を浅くして被写体に視線を誘導したり、被写界深度を深くして写真全体を綺麗に見せるなどの表現効果が被写界深度にはあります。

絞り・焦点距離・撮影距離との関係性を理解して、被写界深度を自由に使いこなせるようになるといいですよね。

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