イギリスの首都ロンドンの南西部にキューガーデン(kew garden)という王立植物園があります。
キューガーデンはかなり規模が大きく、世界最大の植物園ともいわれていて、2003年にユネスコ世界遺産に登録されました。
4万種の植物が栽培され、植物標本の数は700万点以上もあるというから驚きです。
キューガーデンの概要や実際に見てきたものを紹介したいと思います。
キューガーデンが世界最大の植物園になるまで
キューガーデンの始まりはテュークスベリーのケープル卿が熱帯植物を集めて庭を作ったこと。
その後オーガスタ皇太子妃によって拡張されたり、ジョージ3世の命によってウィリアム・エイトンやジョセフ・バンクスなど植物に精通した人たちが、庭園をより豊かにさせました。
そして1840年に国立植物園として一般公開され、宮殿の庭だったのが現在は120ヘクタールもの広大な敷地になっています。
キューガーデンは研究施設としての側面もある
キューガーデンはただの植物園にとどまることなく、大規模な研究施設でもあり、植物に関する膨大な資料を有しています。
他国の植物園とのネットワーックを広げたり、国際的研究機関と協力して植物に関する情報の普及に努めるなど、世界的な植物誌の完成を目指しているキューガーデンは1787年からカーティス・ボタニカル・マガジンを出版しています。
カーティス・ボタニカル・マガジンは当時キューガーデンで働いていたウィリアム・カーティスという人が創刊した植物誌です。
1948年から2012年にかけてはウガンダ・ケニア・タンザニア3カ国の植生を網羅した「熱帯東アフリカの植物誌」を編纂。
12100種を収録した、263巻という大ボリュームです。
キューガーデンは世界各地から資源植物を集めて、品種改良も行っていました。
資源植物というのは、人間の生活上に必要な物質を作ることができるとされた植物のことです。
イギリス植民地内の各国と情報共有をしつつ、育成条件が合った場所に移植させたりしていたそうです。
下記はその移植例。(wikipediaより引用)
- 中国産の茶をインドのダージリン地方やスリランカへ
- アマゾン川流域産の天然ゴムをマレー半島へ
- ポリネシア産のパンノキを西インド諸島へ
- マラリアの特効薬キニーネ(キナの樹皮)をペルーからインドへ
キューガーデンの見どころ
入って少し歩くと、
右には大きな池があって、
左にはキューガーデンのシンボルでもあるパームハウスとローズガーデンがあります。バラが綺麗。
パームハウス
パームハウスは南国のヤシ類などパームを展示している温室で、中に入るとまさに熱帯雨林のような感じ。
いたるところでミストが吹き出していました。
マカダミアや
ココナッツ
バナナ
植物の図鑑でしか見たことないようなものもありました。
上に通路があって、らせん階段を上って温室内部を見下ろしながら歩けます。
プリンセス・オブ・ウェールズの温室
こちらは故ダイアナ妃によってつくられた温室で、写真の右側に切れていて見づらいですが三角屋根がいくつも並んでいるのが特徴的です。
世界の植物に合わせて部屋ごとに温度や湿度も設定されているのだとか。
ここには色々なサボテンがありました。
盆栽とか
テキーラの植物も。
王室の離宮だったキュー・パレス
もともと王室の離宮として使われていたキュー・パレス。オレンジ色で可愛い建物でした。
夏季のみ一般公開されています。
空中樹冠観察路
地上18mの高さに空中路が設置されていて、木々を見下ろしながら歩けます。
これがけっこう高い。
でも木を観察するためにこういうところを歩くことがないのでなんだか新鮮でした。
パゴタ
仏教っぽいこの建物があるなと思ったら、中国のパゴタ(仏塔)でした。
イギリス建築に最も影響を与えた一人でもあるウィリアム・チェンバーズの設計で1762年に建てられたもの。
8角形のものが10層になっています。
京都西本願寺勅使門
日本の昔の家や、
日本庭園、京都西本願寺の勅使門も。
勅使門について日本語で説明が書いてありました。
この勅使門は、京都の西本願寺唐門を5分の4に縮めて複製し、1910年ロンドンで開催された日英博覧会に出展されたものである。
全体は桧づくり、屋根は桧皮葺きで、欄間や羽目板には華麗な彫刻が施され、飾り金物が随所に装飾されていた。
博覧会終了後間もなく当時に移築されたが、八十有余年を経て老朽化が著しくなったため、1994年10月から1995年11月にかけて、日本の伝統技術や新たに開発された技術によって修復された。
キューガーデンの行き方
地下鉄キューガーデンズで降りると、少し歩けばキューガーデンのメインゲートがあります。
ロンドン中心部から電車で行くことができますが、ロンドンの観光スポットが集まっているエリアより外の地下鉄ゾーン3・4に位置しています。
キューガーデンは広いけど歩くのが楽しい
キューガーデンは広いので、じっくり見ているとそれなりに時間もかかるのでけっこう疲れますが、世界各国から集められた植物を見ながら歩くのはすごい楽しいです。
雰囲気も落ち着いていて静か、
家族連れや学生、僕みたいに一人で来ている人もいましたし、ロンドンからそれほど遠くないので気軽に行きやすいと思います。
こういう開けたスペースがあったり、
たまに放し飼いのクジャクがいたり、
こういう素敵なところも歩けちゃいます。
[…] 関連記事 【キューガーデン(王立植物園)はロンドンにある世界最大の植物園】 […]