活字(文字)はあらゆる場面で使いますが、かなり多くの種類(書体)があって、どのように組み合わせていいのか迷います。
ひとつのページに何種類も異なる書体の文字を使うと、たとえばそれらの書体が似ていればデザインが衝突を起こします。
似ているのに微妙に違うというのがデザインの統一感を損なわせるんです。
コミュニケーションのツールとして活字をうまく使うためには、それぞれの特徴について知る必要があります。
書体は時代の変化とともに、特徴も少しずつ変わってきました。
ここでは特に欧文書体について紹介します。
もちろん完全に当てはまらない書体もなかにはありますが、基本的には6つのカテゴリーに分類することができます。
Oldstyle(オールドスタイル)
オールドスタイルはペンで書かれた手書き文字が手本になっていて、もっとも古く一般的な書体ではないでしょうか。
この書体には必ずセリフがあります。
セリフというのは、上の画像で書いていますが、文字の端っこにある少し出ている飾り部分のこと。
このセリフがオールドスタイルの文字には必ずあり、小文字のセリフは斜めになっています。
また字の曲線部分は太さが違い、細い部分を結ぶと斜めの線になります。これをストレスといいます。
オールドスタイルは文字そのものに注意が惹かれるほど大きな特徴がないので、読んでいて疲れない書体。
そのため長文など文字が多い文章に使うのに適しています。
オールドスタイルのフォントには以下のようなものがあります。
- Goudy
- Palatino
- Times
- Baskerville
- Garamond
Modern(モダン)
ずいぶん昔の時代に比べて印刷技術が進み、機械器具が増えてくると、活字も少しメカニカル(機械的)な感じになってきます。
それがモダンという書体。
オールドスタイルのように手書きの文字を手本にしていません。
セリフはありますが、斜めではなく水平です。
そして太い部分と細い部分が極端な感じがしますよね。
オールドスタイルの文字はどちらかというと柔らかい印象を受けますが、モダンは無機質というか少し冷たい印象を受けます。
この書体は太さの推移が強いため、あまり長文には向いていません。
モダンのフォントには以下のようなものがあります。
- Bodoni
- Times Bold
- Onyx
- Didot,Bold
- Walbaum
Slab serif(スラブセリフ)
広告が出てきた頃、最初はモダン書体を太くして目立たせるように使っていましたが、横線が細いという特徴のために離れて見ると縦の線しか見えないという問題がありました。
そこで出来たのがスラブセリフ書体。
見てわかるように、特徴は文字が全体的に太いということ。
見た目がわかりやすい文字なので、今では子供向けの本などによく使われているのだとか。
読みやすいので長文にも使えるのではないかと思うんですが、長文に使うと少し全体的に暗い感じになってしまいます。
そういう点ではやはりオールドスタイルの方が可読性に優れています。
スラブセリフ書体は西洋文明のエジプトブーム時に人気が出たことから、Egyptianと呼ばれることもあり、MemphisやCairo、Scarabというフォントのようなエジプト風の名前がついているものが多いです。
スラブセリフ書体には以下のようなフォントがあります。
- Clarendon
- Memphis
- New Century Schoolbook
- Silica Regular,Light,Black
Sans serif(サンセリフ)
サンセリフ書体のサン(sans)というのはフランス語で、「〜がない」という意味があります。
つまりここではセリフがない書体ということになります。
今ではよく使われているのを目にします。
かなりシンプルな書体で、文字の太さがどの部分もほとんど一定です。
微妙に太さが違うものもあります。
それがこの「Optima」というフォント。同じサンセリフ書体に分類されているんですが、微妙に太さが違う部分がありますよね。
同じサンセリフ書体だからと、他のサンセリフ書体と同じところで使うのはやめた方がいいかもしれません。衝突が起きてしまう典型的なパターンですね。
うまく使えばバランスよく見せられるかもしれませんが、この組み合わせは難しいです。
サンセリフ書体には以下のようなフォントがあります。
- Proxima Nova
- Formata
- Folio
- Shannon Book,Bold
- Bailey Sans,Bold
- Syntax
- Helvetica
- Arial
- Avant Garde
Script(スクリプト)
とりあえず見た目がかっこいい書体。スクリプト書体。
和文でいう行書のような、続け字のものが多いですが、続け字じゃないスクリプト書体もありますし、手書き文字やカリグラフィー書体に似た書体もスクリプト書体に分類されます。
この記事は『ノンデザイナーズ・デザインブック』という有名な本を参考にしているんですが、そこにスクリプト書体に関しておもしろい表現が使われていました。
スクリプト書体はチーズケーキのようなものです。控えめに使わないと、気持ちが悪くなるということです。
うん。わかりやすい。
チーズケーキは美味しいけど食べ過ぎたら気持ち悪くなってしまうのと同じで、スクリプト書体は見た目もかっこよくインパクトがあるけど、文章で使いすぎると読むのも疲れるし気持ち悪くなってしまいます。
なので長文ではあまり使わない方がいいですね。あと全部大文字にするのも。
Decorative(デコラティブ)
最後に紹介するのが、遊び心満載のデコラティブ書体です。
デコラティブ書体のものもたくさんありますが、どれも目を引くのにはとても効果的。
ただスクリプト書体と似ているところがあって、これもチーズケーキなんじゃないかと思います。
個性が強すぎる書体のため、使いすぎるとスクリプト書体以上に気持ち悪くなってしまう可能性もあります。
なので使い方には注意が必要かなと。
デコラティブ書体のフォントには以下のようなものがあります。
- JUNIPER
- THE WALL
- Tabitha
- Pious Henry
- FlySwim
- Blue Island
- FAJITA
- SCARLETT
まとめ
6種類の書体を紹介しました。
最初にも言ったように、たくさんの書体があるので全てがこの6つに当てはまるわけではありません。
ただしこれらの基本的な種類を知っていれば、ある程度文字のスタイルの見方が変わると思います。
それぞれの書体に特徴があり、見出しに使うのか本文に使うかなど、効果的な使い方があるはずです。
こういった特徴を理解したうえで、いろいろな文字の書体を組み合わせて活字を意識的にデザインできればなと思います。
参考書籍
[…] 『活字の基本的な6つのカテゴリー!欧文書体にはこういうものがある』では欧文書体について紹介しましたが、今回は和文書体について。 […]
[…] 書体のカテゴリーについては『活字の基本的な6つのカテゴリー!欧文書体にはこういうものがある』を読んでみてください。 […]
[…] 『活字の基本的な6つのカテゴリー!欧文書体にはこういうものがある』 […]